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現代におけるアニミズムや神話と出会いなおす「AWAI Global Forum 2022」の見どころ〜マルチスピーシーズ人類学、生命と非生命のあわいをひらくアート、スペキュラティブファッションほか〜



アニミズムや神話をめぐるAWAI Global Forum 2022「アニミズムと出会いなおす - 生命の多世界と交わる術- 」


12月3日・4日に開催される本フォーラムでは、人類学や民族学、哲学、芸術、テクノロジー、ファッション、食や農業など領域からこの主題に迫る国内外の実践者・研究者・アーティストの方々をお迎えし、多元的に広がる諸世界との関わり方やオルタナティブな未来へと通ずる実践方法の模索を試みる。


本記事ではフォーラムの各セッションや見どころを紹介したい。



DAY1のセッション紹介と見どころ


DAY1となる12月3日には2つのセッションを行います。

▶︎セッション1:人類学とアートから眺めるアニミズム:西洋と東洋、科学と宗教(奥野 克巳氏・Anais Karenin氏)


本フォーラム最初となるこのセッションでは、人類学とアートを糸口にアニミズムと向き合います。ナビゲーターには、『今日のアニミズム』の共著者であり、日本でのマルチスピーシーズ人類学の潮流を牽引する人類学者 奥野 克巳氏と、ブラジルと日本を拠点とし、植物との関係を軸とし、神話やアニミズム、歴史、領土、科学について考察した作品を手がけるアーティストAnais Karenin氏をお迎えします。

生命の絡まり合いを扱うマルチスピーシーズ人類学、生命と非生命のあわい、仏教哲学とアニミズムの接続などゲスト独自の視点から、本フォーラムを包括する根源的なテーマと向き合います。

<セッション関連情報>

・鼎談「参与と融即のアニミズム」

(加藤学 × 奥野克巳 × 清水高志、以文社、2022年3月11日)


・マルチスピーシーズ人類学研究会:第53回「参与と生命Ⅰ 生きる場とともにたしかめる知を巡らせる」(2021年6月13日)

・Anais Karenin


▶︎セッション2:「神話と芸術がひらく未来のフォークロア」(石倉敏明氏・Antoine Bertin氏)


続く、第2セッションでは、神話や芸術を糸口に、アニミズムや土着的伝統文化の持つ今日的意義や未来の可能性を模索します。ゲストには神話学者であり芸術人類学をご専門とする石倉 敏明 氏、サイエンス、データ、フィールドレコーディングを掛け合わせ、生命世界に関するオーディオ体験を探究するサウンドアーティストAntoine Bertin 氏をお招きします。


映像を通じたAntoine氏のサウンド作品体験や、神話やアニミズムのめぐる石倉氏の講話を通じ、多元的に絡まり合う生命世界とつながりなおしていくための手がかりを探ります。


<セッション関連情報>

・外臓と共異体の人類学:More-Than-Human Vol.7 石倉敏明 インタビュー(聞き手:唐澤太輔)


・Antoine Bertin




▶︎リフレクティブ・クロストーク(Guido Sprenger氏・大小島 真木氏・大室 悦賀 氏)


その日のセッションをゲストや参加者の皆さんと共に振り返るリフレクション・セッション。DAY1では、ラオスなど南アジアを舞台にアニミズムや文化的アイデンティティの研究を行うGuido Sprenger氏(ハイデルベルク大学人類学研究所 教授)、生命の絡まり合いをテーマに表現活動をされている大小島 真木氏(アーティスト)、二元論を超えた哲学や経営を研究される 大室 悦賀 氏(⻑野県立大学 グローバルマネジメント学部教授 ソーシャル・イノベーション創出センター⻑ )をゲストにお迎えします。


<セッション関連情報>

・ Sprenger氏のアニミズムに関する論考(英語):Can Animism Save the World? https://drive.google.com/file/d/1ZNOUSf-anqDH43ChrnIDo9iIGAdPDSd0/view


・Maki Ohkojima


・大室悦賀氏との「あいだの哲学道場」



DAY2のセッション紹介と見どころ

続く、12月4日のDAY2では、食やファッションなど暮らしと密接に関わる領域やモノ、身体におけるアニミズムとの接続を試みます。

▶︎セッション3:「神話と芸術がひらく未来のフォークロア」(Ruud Hendriks氏・玉利 康延氏)



セッション3では、オランダのバイオダイナミック農業研究所「Warmonderhof」の研究者であるルード・ヘンドリクス氏、「食とアニミズム」の研究・執筆を行う玉利康延氏をお招きし、食や農の視点からアニミズムと向き合います。


ルドルフ・シュタイナーによって提唱された循環農法であるバイオダイナミック農法の糸口に、農をよりホリスティックに捉え、標準化されない食と精神、惑星の持つ超自然的な要素と土壌、健康との関係などを研究するヘンドリクス氏。食のルーツや各地に根ざした食文化・歴史を辿りながら、アニミズムや自然信仰などの世界認識や精神性を、気候風土との連環や必然性の中で捉え直していく玉利康延氏。両者の視点を交えながら、食と精神の関係性や、気候風土に根ざした必然性の中で立ち現れてくるものとして、現代におけるアニミズムの意義を再考します。


<セッション関連情報>

・食とアニミズム(玉利 康延氏)


▶︎セッション4:「モノと身体をめぐるアニミズム -ポスト人間中心時代のファッションと物質文化-」(Raquel Buj 氏、水野大二郎氏)

本フォーラム最後のセッションでは、生態系の動態に着想を得て人工物・自然物・テクノロジー・伝統手法を混ぜ合わせるスペイン拠点のファッションデザインスタジオの創設者Raquel Buj氏や、日本におけるサーキュラーファッションの第一人者でもある水野大二郎氏(京都工芸繊維大学未来デザイン・工学機構教授)と共に、人間が世界の主要アクターではなくなった時代における、モノと私たちの相互的関係やスペキュラティブファッション、物質文化、多元的デザインなどの視点からアニミズムの未来に迫ります。


<セッション関連情報>

・Raquel Buj (BUJ Studio)


・水野大二郎


・Designs for the Pluriverse : Radical Interdependence, Autonomy, and the Making of Worlds(Arturo Escobar)https://www.dukeupress.edu/designs-for-the-pluriverse



▶︎リフレクティブ・クロストーク(桐村里紗氏・稲村 徳州氏・Nayeli Vega 氏)


その日のセッションをゲストや参加者の皆さんと共に振り返るリフレクション・セッション。DAY2では、AWAI ギャザリング vol.3でもご一緒いただいた「腸と森の「土」を育てる」の著者 桐村里紗氏、ポスト人間中心デザインやサーキュラーデザインの研究・実践を進める稲村 徳州氏(九州大学 芸術工学研究院 ストラテジックデザイン部門 助教)、スペキュラティブ・デザインやエコロジー、テクノロジーなどのつながりを探究するベルリンのアーティストNayeli Vega 氏をゲストにお招きします。


<セッション関連情報>

・桐村里紗氏にご出演いただいた AWAI Global Gathering vol.3『見えない世界とのつながり:微生物、プラネタリーヘルス、自然治癒コンクリート、そしてマルチスピーシーズ人類学』のセッション映像


・昨年のAWAI Global Forumでの稲村 徳州氏との振り返りセッション


・Nayeli Vega




なぜ今、アニミズムや神話なのか?


人新世を取り巻く議論が物語る様に、人間中心的な近代産業文明があまりに加速的に進歩し、地球生態系における多種(マルチスピーシーズ)の絡まり合いのバランスが崩れかけてしまっているこの世界で、

人は、あるいは、人間という単一種を超えてさまざまな存在と絡まり合いながら世界を協働構築していく一員として、いかに生きていくことができるのだろうか。

私たちは普段、人は人、鳥は鳥、植物は植物、石は石という風に世界を捉えている。あるいは、わたしと世界、人と自然、利己と利他といったように主客二元論に基づいた現実や社会システムを生きていることも多いかもしれない

だが、もしも世界が深い喜びや不気味さや混沌に満ちた多元的なリアリティに溢れているとしたらどうだろうか?その中で、世界とどのように関係を結び直すことができるだろうか。

そうした未来のオルタナティブを探るためには、近現代社会の中で強烈に訓練されてきた「分ける知性や画一化・標準化を加速させるものの見方を一度保留し、世界に開いた無数の穴からこぼれおちる複数性のリアリテイにひらかれていく必要があるだろう。あるいは、それを神話的知性と呼んだのかもしれない。


今回のフォーラムでは、現代におけるアニミズムや神話との再接続を試ることでわたしたちをとりまく多孔的な世界から出現する複数のリアリティを察知する感性や、近代的二元論では克服できない「一/多」のあわいにアクセスするための手がかりや実践方法を共に探りたい。LIVEチケットとアーカイブチケットを両方ご用意していますので、ご興味ある方はぜひご一緒ください。


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▼チケット申込ページ(peatix)


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