2022.06.29-10.10 | オンライン
episode.2
プログラムの特徴
− 特徴1−
無意識の前提や当たり前を問い直す
人類学のアプローチを学ぶ
今回の旅路では、新たな眼差しで世界と向き合っていくため、無意識の前提や当たり前を問い直す人類学の手法やツールを学んでいきます。
人間中心的な視点で境界線を引き、要素を分けることで世界を理解しようとしてきた従来の知性や認知フレームを一度保留することで、人類史の中で硬直化・矮小化されてきたヒトと植物との関わり方をもう一度問い直し、いきいきとした生命世界の全体性につながり、驚き、感動し、出会いなおしていくための心や生命感覚、世界との関係性を育みます。
− 特徴2−
植物を通じてひらかれる
新たな世界との出会いなおし
大地に根を張り、動き回ることなく、その場で花を咲かせ、種を残し、枯れてゆく。
一見受動的にみえながら、非常に能動的に周囲の環境へと働きかけ、他種・他者と密接に絡まり合う、個体として完結し得ない植物の生態や形態的特性は、二元論を越えた視点から私たちの生や暮らしの在り様を問いかけてくれます。
本プログラムでは、古来から紡がれてきた花の文化や植物民俗学、アニミズムや仏教哲学などを手がかりに、植物との出会いなおしを通じてひらかれる暮らしや文化、生命感覚の再構築を試みます。
− 特徴3−
学びの実践と身体知化を促す「型」
本プログラムでは、各ナビゲーターの専門的知見やまなざしに触れ、理解を深める「インスピレーションセッション」と、学んだことを実際にやってみる実践ワークを通じて、知識を知恵や身体実感へと昇華させていくための「プラクティスセッション」の2種類のセッションがDNAのらせん構造のように編み込まれています。
さらに、この2つのセッションのあいだで、普段の暮らしにおける継続実践のための小さな入り口が「型(かた)」として提示されます。1日数分~15分程度の小さな実践を続けることで、一人一人の内なる感覚の解放や心身の状態変化を促し、新たに未来を創発・表現していくためのキャパシティを育みます。
− 特徴4−
それそれが住まう土地や風土、
土着の知恵へのつながりなおし
セッション自体はオンラインで展開されますが、それぞれの暮らす場所でのリアルなワークを組み合わせたハイブリッド型のジャーニープログラムです。
オンラインで全国各地から集う仲間たちとつながりながらも、それぞれの住まう場所を歩き、身体感覚をひらき、その土地の植物や暮らしとつながりなおすことで、土地の気候風土と一体となって立ち現れるヴァナキュラー(土着的)な文化や暮らしの知恵を紡ぎなおしていくことを試みます。
人と植物の新たな関係性をひらく
各領域の研究者・実践者たちをお迎えします
竹倉史人(たけくら ふみと)
人類学者
独立研究者として執筆・講演・大学講師などの活動を行っている。古代人における「時空感覚」に注目し、世界各地の神話、儀礼、考古遺物の分析を通して数万年におよぶ人類の精神史(インテレクチュアル・ヒストリー)を研究中。著書に『土偶を読む——130年間解かれなかった縄文神話の謎』(晶文社、第43回サントリー学芸賞)、『土偶を読む図鑑』(小学館)、『輪廻転生——〈私〉をつなぐ生まれ変わりの物語』(講談社)など。
Module1 人類学を活用した認知フレームの刷新
Module3:植物の生態から学ぶ新しい生命感覚の構築
山本 文弥(やまもと ふみや)
花人 / 木曽御嶽本教
池坊から花の道へ。その後、なげいれ、たてはなを学ぶ。2018年、長野県木曽地域に移住。食を楽しみ、花をいけ、山に祈りながら暮らしている。著書に『Post-Mortem Portraits: 死してなお生き延びる花』、論考に「生殖器崇拝としてのいけ花」など。
Module2:植物と出逢い直す
- ヒューマンスケールを越えるということについて -
平川 美鶴(ひらかわ みつる)
植物民俗研究家 /(一社)和ハーブ協会副理事長
日本各地の植物と人の繋がりを調査・研究。日本人らしい生き方や感性を探求し、風土と共にあった尊い知恵を今どう生かすか考え、未来へ届けるメッセンジャー。各種講座・講演、執筆、テレビ・ラジオ等メディア出演、自然観察ワークショップ、中山間地における地域創生プログラムなどに携わる。日本民俗学会所属。著書に最新刊『和ハーブのある暮らし』(エクスナレッジ) など。
Module4:植物民俗学の実践
- 足元の宝物「和ハーブ」を通じて世界を広げていく -
旅のホスト
小林 泰紘(こばやし やすひろ)
Ecological Memes 共同代表・発起人
エコシステミック・カタリスト
世界28ヶ国を旅した後、社会的事業を仕掛ける起業家支援に従事。その後、個人の生きる感覚を起点とした事業創造や組織変革を幅広い業界で支援したのち、独立。現在は、主に循環・再生型社会(リジェネレーション)に向けたビジョン・ミッションづくり、事業コンセプト策定、リーダーシップ醸成などを支援するカタリスト・共創ファシリテーターとして活動。
座右の銘は行雲流水。趣味が高じて通訳案内士や漢方・薬膳の資格を持つ。菌と共に暮らす ぬか床共発酵コミュニティ主宰。馬と人とが共にある クイーンズメドウ Studios 企画ディレクター。株式会社BIOTOPE 共創パートナー。一般社団法人 EcologicalMemes 代表理事。『リジェネラティブ・リーダーシップ』を日本に伝え、実践・深化させるためのリーダーシッププログラムや翻訳活動を展開中。
https://twitter.com/yasu_cs
山田 博(やまだ ひろし)
株式会社森へ創設者/プロコーチ/山伏
1964年生まれ。(株)リクルートを経て、2004年プロ・コーチとして独立。 CTIジャパンにてコーチ、リーダー養成のトレーナーとして約4000人の育成に関わる。2012年(株)CTIジ ャパン代表、2014年(株)ウエイクアップの経営に参画。意識の進化による全員当事者の経営を目指す。2006年、森の中で自分を見つめ、感じる力を解き放つ 「森のワークショップ」をスタート。2011年、株式会社森へを設立。自分、人、森との対話を通じて、原点を思い出す「森のリトリート」を全国各地の森で開催。最近は、生命論的視野からビジネス、組織、社会を捉え直す「Regenerative Leadership」を探究しつつ、山、森、川、海のつながりの中で暮らしながら身体ごと学ぶ場を求めて各地を巡っている。 書籍『森のように生きる』『森のような経営』『森と共に、歩む日々』 関連書籍『無意識の整え方』
須永 愛美(すなが あいみ)
Ecological Memes 共同代表
絵描き
絵描き、一般社団法人 Ecological Memes 共同代表。自分や誰か、何かのいのちの内側を描き出すことをテーマに、観る人の身体の奥に直接響く絵を描く。内側への探究心は絵の表現だけにおさまらず、コーチングやピラティスなど、心と身体そのものにも向き合い続けている。プロフェッショナルコーチ。ピラティス・解剖学勉強中。共異体として目覚め始める世界を直感していたタイミングでEcological Memesに出会い、共同代表として活動をともにする。
田代 周平(たしろしゅうへい)
Ecological Memes共同代表 /
ハイデルベルク大学人類学・越境文化学修士課程
ドイツ・ハイデルベルク大学大学院、人類学専攻、越境文化学(Transcultural Studies)副専攻。人新世やマルチスピーシーズ民族誌、インテレクチュアル・ヒストリーなどの領域やテーマを手がかりに、人間と人間ならざる存在の関係性をグローバルな視点で研究している。一般社団法人 Ecological Memes では、共同代表としてディレクションやライティングなど幅広く活動。海洋環境NGO Sustainable Ocean Alliance 日本チャプター旗振り役。日常のくらしのなかで自給自足を実験するのが好き。ダイバー。個人のnoteでエッセイや記事を執筆中:https://note.com/shutash
旅の流れとセッション日程
各領域の先駆者と共に知恵を深めていくインスピレーションセッションと、
学んだこと実際にやってみるプラクティスセッションが
DNAのらせん構造のように編み込まれています。
旅を伴走するナビゲーター
参加費と申込方法
参加費(税込)
経済状況に関わらず必要な方にプログラムを届けていくために、学生・奨学枠および恩贈り枠を設けています。
また、現場での学びや継続的な変革・実践を促していくために、同組織・企業から仲間・パートナーをお連れして参加する場合のペア割チケット、JoR第1期参加者対象のリピート価格を設けています。
-
恩送りチケット:8.8万円
-
一般チケット:6.8万円
-
ペア割チケット(2名分):12.6万円
-
学割・奨学チケット:2.0万円
※リピートの方は50%割引となります(JoR第1期参加者のみ対象)
※恩贈りチケット分は、学生・奨学枠の補填に充てさせていただきます
※共感型コミュニティ通貨 eumo払いも可能です。ご利用を希望される方は申込フォームよりお知らせください(Ecological Memesはeumo加盟店です)
参加費に含まれるもの
-
全オンラインセッションへの参加アクセス
-
全セッションの録画記録・セッションマテリアルへのアクセス
(参加できない回があった場合でも、録画記録・マテリアルでキャッチアップすることができます) -
多様な想いや願い、価値観、世界観を分かち合い、旅路を共にしていく仲間との出会いと学び合いの機会
-
それぞれの場所で自然や身近な植物に出会いなおし、自分自身の感覚をひらき、深め、表現していくためのガイドや機会
-
人類学や植物に関わる記事・動画・ツール・書籍など、学びを深めて進めていくための様々な情報ソースの紹介
-
プログラム参加者限定コミュニティグループへのアクセス
Introduction
旅へのいざない(イントロダクション)
私たちは、今、世界をどのように体験しているのでしょうか。
イントロダクション・セッションでは、植物と人類学をめぐるこれからの旅路やお互いの状況、身体実感を分かち合い、新たに世界と出会いなおす再生成の旅路を歩み出していくための身支度を仲間と共に整えていきます。
[ナビゲーター]
小林 泰紘(こばやし やすひろ) Ecological Memes 共同代表・発起人
山田 博(やまだ ひろし) 株式会社森へ創設者
[日程]
#1 イントロダクション・セッション[ 6月29日(水)18:30 - 20:30 ]
Module 1
人類学を活用した認知フレームの刷新
人類学には、既にわれわれの頭にインストールされている世界観(=認知フレーム)を再帰的に眺めたり、よりクリエイティブなものへと刷新する力があります。こうした人類学のツールとしての利点を最大限に活用しながら、あらためてこの惑星におけるホモ・サピエンスの生態を歴史的に振り返ってみたいと思います。そのうえで、ポスト氷河期における人類のドメスティケーション(家畜化・栽培化)に注目し、「植物の栽培化」「動物の家畜化」「世界の神話化」などをキーワードに、この地球社会で生きることの意味を再検討してみたいと思います。
[ ナビゲーター ]
竹倉 史人(たけくら ふみと) 人類学者
[日程]
#2 インスピレーション・セッション[ 7月6日(水)18:30 - 21:00 ]
#3 プラクティス・セッション[ 7月9日(土)9:30 - 12:00 ]
Module 2
植物と出会いなおす
-ヒューマンスケールを越えるということについて -
「人間ではなく、神に喜ばれる花を。」原初花道の入口はここにある。人間の手によって花を自然の状態から文化の状態へと昇華し、人知を超越した領域にアクセスすることで心願の達成を目指す。流派が生まれるはるか昔の──神事とも呼べる──古代の花。神前に一花をたてる、聖なる活動。このモジュールでは、そうした花の文化の一端に触れながら、参加者それぞれが暮らす土地の草木との出会いなおしを試みます。
[ナビゲーター]
山本 文弥(やまもと ふみや) 花人
[日程]
#4 インスピレーション・セッション[ 7月20日(水)18:30 - 21:0 ]
#5 プラクティス・セッション[ 7月24日(日)9:30 - 12:00 ]
#6 インスピレーション・セッション[ 8月3日(水)18:30 - 21:00 ]
#7 プラクティス・セッション[ 8月6日(土)9:30 - 12:00 ]
Interlude
中間共有セッション
少し立ち止まり、ここまでの旅路を仲間と共に振り返りながら、お互いの学びや気付き、変化に耳を澄ませます。
そして、自身の身体実感や植物たち、住まう土地への新たな出会いの中から現れているテーマや実践活動の輪郭を探ります。
[ナビゲーター]
田代 周平(たしろ しゅうへい) ハイデルベルク大学人類学・越境文化学修士課程 / Ecological Memes 共同代表
須永 愛美(すなが あいみ) 絵描き / Ecological Memes 共同代表
[日程]
#8 中間セッション[ 8月31日(水)18:30 - 21:00 ]
Module 3
植物の生態から学ぶ新しい生命感覚の構築
いまわれわれが体験している〈世界〉の仮想性について確認し、現代の文明圏において「生命」がいかに表象されているのかを検証します。
そのうえで、近年の植物学が明らかにしつつある植物の生態をヒントに、個体としての独立性を保ちつつ、かつ生命の全体性/連続性を毀損しない新しい生命感覚の構築がいかにして可能か、アニミズムや仏教哲学なども参照しながら模索してみたいと思います。
[ナビゲーター]
竹倉 史人(たけくら ふみと) 人類学者
[日程]
#9 インスピレーション・セッション[ 8月17日(水)18:30 - 21:00 ]
#10 プラクティス・セッション[ 8月21日(日)9:30 - 12:00 ]
Module 4
植物民俗学の実践
- 足元の宝物「和ハーブ」を通じて世界を広げていく -
古来、衣食住の素材や道具、儀礼、環境保持などさまざまなシーンにおいて、身近な有用植物(和ハーブ)が暮らしを支えてきました。旅路の終盤となる本セッションでは、そうした日本各地の植物資源や利用の知恵を訪ね、日本人本来の生き方を再発見する〈植物民俗学〉を軸に展開していきます。
和ハーブは時代を超えて、この地に住まう人びとの健やかさ、美しさ、感性、そして霊性を育んできました。目の前に根を下ろす植物。彼らはどのようにその場に生き続け、人はその恵みをどのように受け取り、暮らしに溶け込ませてきたのでしょうか。ダイナミックかつ不思議な植物の生存戦略と、"薬草の村"の古老たちが紡ぐコトバをクロスオーバーさせながら、生きる知恵を紐解いていきます。
[ナビゲーター]
平川 美鶴(ひらかわ みつる) 植物民俗研究家 / 一般社団法人 和ハーブ協会副理事長
[日程]
#11 インスピレーション・セッション[ 9月7日(水)18:30 - 21:00 ]
#12 プラクティス・セッション[ 9月11日(日)9:30 - 12:00 ]
#13 インスピレーション・セッション[ 9月21日(水)18:30 - 21:00 ]
#14 プラクティス・セッション[ 9月24日(土)9:30 - 12:00 ]
Module 5
ハーベスティング・セッション
プログラムの終わりは新たな旅のはじまり。ここまでの学びや変化を分かち合いつつ、それぞれが旅路の中で探索してきたテーマやプロジェクトを互いにシェアします。
ここからはじまっていく新たな旅に向けたアクションプランニングやフォローアップを行います。
[ナビゲーター]
小林 泰紘(こばやし やすひろ)/ Ecological Memes 共同代表・発起人
山田 博(やまだ ひろし)/ 株式会社森へ創設者
#15 ハーベスティング・セッション[ 10月10日(月・祝)9:00 - 12:00 ]
私たちはどのように生命の世界と関わり、
暮らしや社会を編みなおしていくことができるでしょうか
人間中心の視点で発展してきた近現代社会。
私たちは今、自然界の営みや生命のリズムとのつながりをいかに取り戻し、
生態系の一部としてどのような役割を果たすことができるのかを大きく問われています。
植物と人類学をテーマに、世界と新たに出会いなおす
本プログラムは、植物と人類学をテーマに、
世界と新たに出会っていくための約4ヶ月にわたるオンラインジャーニーです。
旅路を共にするのは、人と植物の新たな関係性をひらく各領域のナビゲーターたち。
無意識の前提や当たり前を問い直し、新たな眼差しで世界と向き合っていく人類学の手法を学びながら、
それぞれが住まう土地や身近な植物とのつながりを取り戻していくための実践を試みます。
足元の身近な植物との出会いを通じた、自己と暮らしの再発見
「樹木は人間のこころの自己変容と救済のメタファーである」
これは心理学者 C・G・ユングの言葉ですが、
植物と出会いなおしていくことは、自らの内なる植物性への感度を高め、
自己の変容に立ち会う営みでもあるのかもしれません。
身近な植物との関わり方をもう一度紡ぎなおすことを通じて、
新たな自己を生成し、世界と出会い続けていくような
そんなリジェネラティブな探究の旅路をぜひご一緒ください。
例えば こんな方のご参加をお待ちしています
-
人類学や植物との関わり方・文化に興味があり、方法論や知恵を学びたい
-
自然や植物が好き・癒される、というだけで終わらせてしまうのではなく、植物や風土との出会い直しや新たな生命観・人間観を探究をしてみたい
-
今の暮らしや仕事のやり方に、自分が本当は大切にしたいリズムとのズレや不調和を感じている…
-
自分が内面で大切に感じていることと実際にやっていることとのつながりを取り戻したい…
-
既存の経済社会システムや機械論的なアプローチに限界を感じている…
-
サステイナビリティやSDGs、リジェネレーションなどを知識や概念で扱うだけでなく、その実践の道筋をひらくための身体実感やパラダイムシフトの必要性を感じている
-
人間の世界に閉じない、自然や他の生命との再生・繁栄的な関係性を模索したい…
-
日々の暮らしや仕事の中でリジェネラティブな在り方や生命論的なパラダイムの実践を探究していきたい…
-
内容はよくわらかないけれど、直観的にピンときてしまった...
植物は、人間とその環境世界のつながりを担保する
個性的な媒介者であり、共進化のパートナーであった
『宇宙樹(竹村真一 , 人類学者)』より
旅を歩み出すのに、特別な知識や専門性は必要ありません。
どなたでもご参加をお待ちしています。